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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
「私ね……史の役に立ちたいって……ううん、違うの。きっと史の言う通りにしてれば……いつか史は私を本当に好きになってくれる……洋平のパパになってくれるって……信じこもうとしていた」
服を着た景子は、史の背中に向かって話す。
均整の取れた筋肉のついた綺麗な背中と、サラサラとした肩までの髪に見惚れ、この後ろ姿も好きだったな――と思う。
少女漫画から飛び出してきたかの様に線が細くて綺麗で、見た目以上に冷たくて気紛れな、永遠に自分に振り返ってくれない男。
その冷たさや気紛れに振り回されながら、どうしたら自分だけの男になってくれるのだろうか、と幾度も泣いた。
だがどんなに考えても、彼の為に身体の手入れを懸命に行っても、彼が好むような仕草をベッドで仕掛けても、何も変わらなかった。
史は誰にも捕まらない希少な蝶のようだった。
その史がほなみに対しては違う態度を示す事に烈しく苛立ち嫉妬したが、それは史を愛しているからではなく、自分の自尊心が踏みにじられた怒りに過ぎなかった。