この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
ちらりと覗く史の横顔には今までにない愁いと陰りがあり、景子は息を呑む。
およそ人に謝ったり譲ったりしない性格の史は、いつもその瞳を強く自信たっぷりに輝かせ、有無を言わさぬ物言いで相手を黙らせてきた。
「口答えする女は嫌いだ」
という史だが、関わった女達は、彼の美貌と迫力に気圧されて何も言えなかった。
そう、ほなみを除いては。
史は、ほなみの柔らかい笑顔や、低くもなく高くもない優しい声、微かに膨らんだお腹の感触、そこへ耳を当てた時の不思議と落ち着く――どこか懐かしい感情を思い出し、同時に景子もそんな時があったのだ、と改めて気付いた。
自分と会わない間に、景子はお腹の中で少しずつ育っていく命を守っていたのだ。
今のほなみと同じように、微かな胎動を喜んだり――