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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
――史の良いところはさあ……なんだろ。
その少女漫画からバーンって飛び出して来たみたいな綺麗な顔と……綺麗な顔と……綺麗な顔か!
祐樹がからかい半分でよく史に言った。
――何だよ……つまり、俺ってそれしかねえのかよ?
と聞くと、祐樹は『それだけで充分じゃん』とあっけらかんと答えたものだ。
随分と適当な奴だ――と思ったが、祐樹は史の欠点とも言えるところ――移り気で飽きっぽく、情に薄い淡白な性格を咎めることは一度もなかった。
三広や亮介が、祐樹に史の陰口のような事を愚痴っているのを偶然聞いてしまった事がある。
放課後の音楽室へ入ろうとした時、その場面に出くわし、胸の中が一気に重くなり立ち去ろうとしたその時、祐樹の朗らかな笑い声が聞こえた。
『笑い事じゃないよう――!』
『そうだよ……ちょっと史の勝手は度を過ぎてるんじゃないかな』
三広と亮介の抗議する声に、祐樹は被せるようになにかを言って彼らを黙らせた。