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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
「お兄さん、僕、よーへい」
洋平は高熱を出しているとは思えない溌剌とした大きな声を出して史を驚かせるが、史の大きな目を見てまたはにかんで景子の背中に隠れた。
「こらっ、お前!いくら遊びに行きたいからって病気の時に無茶するなって!」
史が景子の方へ回り込み洋平を捕まえて抱き上げると、洋平はキャッキャと笑った。
その仕草があまりにも自然で見ていた景子も驚き、史自身も戸惑った。
洋平は史の顔を覗き込んでたどたどしい口調で聞いた。
「お兄さん、は、なんていう人?亮介みたいに大きなお兄さん、だね」
「りょうすけ?」
史は聞き返し、頭の中に亮介の事が過った。
景子は少し遠慮がちに言う。
「偶然ね……洋平と会った事があるの……病院で」
「ふ――ん、そうなんか」
「りょうすけはね――ダンスが上手いんだよ!サングラスのお兄さんもママのお友だちなんでしょ――?お兄さんは何が得意技なの?お名前は?ねっねっ」
「お前っ……病気の癖になんでそんなハイテンションなんだよ!」
史の耳朶に噛みつかんほどの勢いで質問攻めをする洋平に史はたじたじだった。