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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
「あは……はは……おにいさ……やめてっ」
洋平の鈴を転がすような笑い声が耳を擽ると、史は少し手の動きを緩めつつも擽りを続行して景子の顔を見る。
景子の、穏やかで気高く美しい笑顔が、洋平が屈託なくコロコロ笑う姿が、史の中にある種の使命感を植え付けた。
――私……綾波さんに疑われてる……ううん、確実にクレッシェンドから……亮介君から引き離される……
景子はあの夜こうも言っていた。
綾波剛。
史はその名前を耳にしてグッと唇を結んだ。あのライヴの夜、突然現れて史を殴り倒し、ほなみを連れ去ったクレッシェンドの元マネージャーの男。
ナイフの様な鋭さと烈しさを持ったあの男には、下手な誤魔化しや取り繕いは通用しないだろう。
あの男と相対するなら、正面からぶつかる他にない――そう史は思った。
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