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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
いつも真夜中に店のカウンターでグラスを磨きながら思っていた――
俺はこんな所に埋もれて終わる男ではない、大きくて輝かしいステージに相応しいだけの物を俺は持っているのに――と。
一緒に音楽を志していたかつての友人達は正に今、スポットライトを浴びている。本当なら俺もあの中に居た筈だった、という言葉が喉元までせりあがって、吐き気を堪えて歯を食い縛りながら表面では鮮やかな笑顔を浮かべていた。
自身の名前を掲げたバンドの活動をしながらも、出口の見えない生活に辟易していた。
そんな所に現れた景子を利用して、私怨を晴らし、自身がのしあがる作戦を考えて実行しようとした――が、クレッシェンドの仕事をして変わっていく景子を見て、そしてほなみとの思いがけない出逢いが、史の心に変化をもたらした。