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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
史は目の前で苦しむ小さな洋平を見て、今まで感じたことのない気持ちを自覚していた。
どうしたら苦しさを和らげてやれるのだろうか?
洋平の肩も、首も、胸を押さえる固めた拳も、何もかもがとても小さくて、なのにその小さな身体が今にもバラバラになってしまうのではないかと思うほどに烈しく咳をしている。見ているこちらまでが息苦しさを覚えてしまう。
ほなみと初めて逢ったあの日、彼女がお腹の痛みに顔を歪ませて耐えていたのを思い出す。
あの時に感じた気持ちと、今のこの気持ちは似ている様な気がした。
「そうだ……お前……洋平っていうんだような……俺の名前はな、史っていうんだ」
「けほっ……ふ……み?」
「そうさ、歴史の史、て書いて史さ……お前も今に学校で習うだろ」
「けほっ……けほっ……ふみにーちゃん……ゲホッ」
一際烈しく咳き込み、洋平のつぶらな瞳から涙が溢れる。