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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
その涙を見て、史の胸の奥が潰れるように痛んだ気がした。
――何なんだ俺は。まさかこれが父性っていうやつ?
そんなもん、自分の何処にあるっていうんだよ。
今まで女に数えきれないくらい泣かれたが、何にも感じなかったのに。
目の前でこいつが咳してちょっと泣いただけなのに、何でこんなに苦しくなるんだ?
景子が妊娠したって聞いたあの時には子供なんて邪魔にしか思ってなかったのに、こんなに都合よく自分が父親っぽい気持ちになるもんなのか?
大体が、こいつが俺の事を父親って認めるかどうかも分からないってうのに……――
「ふみ……にーちゃ」
「ん?」
洋平は咳き込みながら、頭にチョコンと載せていたサングラスを外して史にそっと掛け、小さく笑った。
「やっぱり……ふみにーちゃの方が似合う……ね……」
「――」
真っ直ぐな幼い瞳の色に、史は言葉を失い、その時景子がペットボトルの飲み物を持って戻ってきた。