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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
「ママ~」
洋平は景子を見て、さっくりと口の中で溶ける綿菓子の様な微笑みを浮かべ、小さな両手を出して甘える。
景子はいとおしさに泣きそうになりながら我が子を胸に抱いて頭を撫でた。
その一連の動作を史は見惚れるかの様にじっとその目に焼き付けている。
今まで生きてきて、小さな物に気を留める事などなかった。こんなにも柔らかくて、胸の奥に暖かさが宿る様な光景を見たことがない――と思った。
景子の背中越しに洋平と目があって、その小さな顔は史に向かって得意そうに口の端を釣り上げ、小さな口を動かす。
「ふみに――ちゃも、ママとハグしたいの~?」
「ばっ……ガキじゃあるまいし……」
史は急に気恥ずかしくなり、わざと乱暴な口をきく。
景子はクスクス笑って、洋平の為にオレンジジュースの蓋を開けた。