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らぶあど encore!
第32章 言葉に出来ない



「洋平、洋平っ」



 泣きながら担架に追い縋る様にして覚束ない足取りの景子にあぐりは駆け寄ろうとしたが、景子の側にいる男性の姿に凍り付く。

 景子の肩を抱き、親密そうなその男性は目が覚める程の美形で、その容姿といい服装といい、一般人には見えない。

 カナも景子に気づき、そして側にいる男性を見て眉をひそめた。



「……ご兄弟……とか?かしら?」



 あぐりはじっと二人を見詰める。男性は泣きじゃくる景子の肩を抱いたまま何かの言葉をかけている。景子もそうされる事になんの抵抗もなく彼に身を預けていた。
 
 友人とも家族とも違う親密な雰囲気をあぐりは感じ取っていた。

 






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