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らぶあど encore!
第33章 言葉に出来ない②
夜の闇とライヴハウスの非日常な空間はある種の魔力を持っている。
ステージでスポットライトを浴びて音楽の渦の中にいるミュージシャンは観客からすれば堪らなく魅力的に映るものだが、そうでない素の状態では普通の人間に戻ってしまうタイプが殆どと言っていい。
ミュージシャンがステージで輝き人を魅了するのと同じように、アスリート達もやはりプレイ中がより魅力的に見えるのは当然の事だが、綾波が探しているのは真のスターなのだ。
ステージを降りても変わらず不思議な輝きを放つ逸材を求めている。
そんな人間を見付けるのは簡単ではないが、それを見付けてこそのスカウトマンだ、とプロデユーサーの志村が常日頃言うが、それについては綾波も同感だった。
――この男……太陽の元で楽器やマイクを手にしていなくても、光を放っているな――
綾波は密かに思った。