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らぶあど encore!
第33章 言葉に出来ない②
看護士がドアを引き中へ入るように促すが、景子の膝に力が入らなくなってガクリと崩れ落ちそうになる。
「景子っ……」
史が支えるよりも早く、景子を抱き留めた人物が居た。
景子の視界に白い綿の長袖と、綺麗で大きい掌が見える。
「……す……すいません……」
「お母さんが倒れたらどうするんです……しっかりして下さい」
聞き覚えのある親しみのこもる声に景子が弾かれたように顔を上げる。
景子を抱き留めたのは、白衣に身を包んだ透だった。
「と……っ透せんせ……」
どうしてここに透がいるのかという疑問よりも先に安堵が込み上げて、景子は涙を溢れさせる。