この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
らぶあど encore!
第33章 言葉に出来ない②
熊やウサギのファンシーな柄のエプロンの透はまるで「子供番組の爽やかな体操のおにいさん」だがこうして普通の医師のように白衣姿の彼は本当に有能で真っ当な医師に見える。勿論彼はキチンとした医者なのだが――
産科と小児科の開業医の透が何故総合病院の救急に居るのか気になったが、それよりも今は我が子の容態を聞きたい景子は口を開く。
「よ……洋平は」
「入院が必要です……今処置室で検査をしていますが……結果が分かるのが明後日ですね」
くるり、と椅子を回転させてパソコンに向かいキーを叩きながら透はまるで『昨日は肉料理だったから今日は魚にしようか』と家族に語りかけるような口調で言った。
「入院て……そんなに良くないんですか」
「検査て、何の検査なんだよ!洋平はな、まだちっさいガキなんだよ!必要ない検査とか沢山やって保険点数を稼ごうっていう腹じゃねえだろうなあ――ッ先生よ~?」
青ざめる景子と、いきり立つ史に透は振り返り清涼感溢れる笑顔を向ける。