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らぶあど encore!
第33章 言葉に出来ない②
「落ち着いて下さい……お父さん」
「――っおっ!おとうさんだとっ?テメエ、一体誰をつかまえてお父さん呼ばわり……て……むむむ……まあそうか……だよな」
当然の様に透にそう呼ばれて狼狽える史だが、景子を見て咳払いをひとつすると唇を結んで黙り、椅子に座り直した。
景子は透に訊ねた。
「あの……なんで分かったんですか?彼が……洋平の」
「わかりますよ。目元と眉が良く似ていらっしゃいます」
透の微笑みが景子の胸に突き刺さり、また彼女を涙ぐませた。
史はそんな彼女の肩をそっと叩くと、透に小さく頭を下げる。
「その……とおる先生?悪かったよ……ついイライラして……」
透は分かっています、とでも言いたげな笑顔で頷いた。