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らぶあど encore!
第33章 言葉に出来ない②
「まあ……要するにこういう事です」
透はA4の白い紙を何枚かデスクから取り出すと、ペンで素早く書き始めた。
棒のような人の形を書き、胸――心臓を表しているのだろうか――描いたハートの中を真っ黒に塗り潰す。
「洋平君は、熱が長い間下がらないという事でしたね」
景子は透に頷く。
「お母さんの話からすると……洋平君はひと月近く熱が上がったり下がったりしている状態だったという事になります。ここまで熱が続くという事は何らかの細菌に感染しているか、あるいはもっと他の原因があるのかも知れません」
「他の……?」
不安げな景子に、透は真顔になり頷く。
「検査の結果を見ないと――ですが、洋平君は心疾患を持っている疑いがあります」