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新月
第7章 大切なこと
『ひっく、ひっく。』
小さい背中をさらに小さくして、女の子が泣いている…。
誰かに見られてはいけない——
そう思ったのか、女の子は、御屋敷の押入れの中で隠れてないていた。
『……ふぅぅ……ヒック。
……ととさまぁ……』
(これは自分だ。
父親がいなくなって、寂しいけど、かかさまの前では泣けなかったんだ。)
テルの勤めている御屋敷にきて、隠れて泣いていたのだ、
(これは、ととさまの夢なのかしら?)
意識はそのままに、身体は幼いまま、押入れの暗闇で泣いていた。
———スゥ。
不意に襖が開いた。
『みぃつけた。』
襖を開けた男の子は、安堵した声をだした。
『……とうごちゃん……』