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叔父姪えっち
第7章 抱かない
叔父さんが帰ってくるのをじりじりして待った。
夕方、まだ明るい縁側で、ぶらんと垂らした自分の足を見つめる。
ミキはお母さんにそっくりだけど、足の形だけはお父さんにそっくりだって、親戚が集まると必ずネタにされた。
確かに並べてみると親指が妙に大きく見えるのとか、やっかいな巻爪とか、わたしたちの足は本当にそっくりだった。

だけど。
写真の持つ意味を考える。
叔父さんの足はどんなだった?
思い出せない。
顔の輪郭や腕の太さや、歩く姿がお父さんと似ていると思った事は確かにあった。
だってお父さんと叔父さんは兄弟だ。
似ていて当たり前。

そしたら、わたしと叔父さんは?
わたしと叔父さんが似ていたとして、それは、叔父と姪だから?
他に理由があるだろうか?
それは、いったいどんな理由?


手元の写真を眺める。
花嫁衣装のお母さんと、隣で笑う袴姿の叔父さん。
二人の持つ親密な空気が伝わってくる。こんなの、どう見たって……。

車の音がして、はっと顔を上げる。叔父さんが運転する白い車が坂道を上がってくる。
いつも通りの、帰宅の風景。
車庫に車を停めた叔父さんはわたしを見つけて
「お、ミキちゃんお出迎え~?」
と呑気に近寄ってきた。

叔父さんの顔をじっと見つめる。
「あれ~どしたん、怖い顔し、て……」
縁側に腰掛けた叔父さんがわたしの持っている写真に気付いて言葉を止める。

パチン! と叔父さんが自分のおでこを叩く。そのまま両手で顔を覆う。
「あ~、箪笥の……」
叔父さんが小さな声で呟いたのをわたしは聞き逃さない。

「そうだよ、箪笥でみつけたの。お母さんの花嫁衣装の下にあった」
「……」
「どういうこと?」
沈黙。

「叔父さんは……」
わたしもそう言ったきり次の言葉が出てこない。
聞けない。怖い。
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