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叔父姪えっち
第8章 ひとり・ふたり
「そんなん言うてもミキちゃん帰るんやから。タケオくんとあんじょうやったらえぇんや」
叔父さんはわたしを引きはがそうとしてくる。わたしは必死にしがみつく。
「家帰るんが嫌やからやろ、手ごろな違うもんにすがりたいだけや」
「ちがうっ」

叔父さんがこけて二人で畳に転がる。ジタバタする叔父さんを、それでも離さない。畳が擦れて足や腕がヒリヒリする。

「もーっ! ミキちゃんっ」
叔父さんがわたしの腕を引きはがして畳に押し付け、馬乗りになって組み敷いた。
二人して荒い息を吐く。
「茜さんとはどうもならん。俺は一人で生きるしミキちゃんは帰って家族と仲良くやるんや。不安ならお父さんに正直に言い。あいつは話ちゃんと聞いてくれる。わかってるやろ? 
どうしても嫌やったら高校卒業して大学入って一人暮らししたらええ。彼氏やってタケオくんかそれ以外の男でもミキちゃんやったらすぐできる。
俺のせいで変な寄り道あったかもしらんけど、夏休み終わったら終いや。もう邪魔せぇへんから!」

叔父さんは一息にそう言うと手を離して隣に座った。
わたしの目尻から涙がこぼれた。

「邪魔じゃないもん……」
「……せやかてこんなおっさんとここおってもしゃあないで。ミキちゃん若くて可愛いのに。そんな無駄なことさせられへん」
「叔父さんが手ぇ出すから悪いんじゃん」
「それはほんまに悪かったと思ってる。謝る。この通りや」
叔父さんは畳に手を付いて頭を下げた。
「……」

わたしは起き上がって叔父さんの頭にポンと手を置く。
また涙が出てくる。
叔父さんの頭をくしゃくしゃに撫でているとだんだん落ち着いてきた。

「叔父さんは、一人で暮らすの? 茜さんは?」
「茜さん、なぁ」
「好かれてそうだったけど」
「まぁ、子供できん言うたら一発アウトやろ」
叔父さんの声が一段低くなる。
「……」
「俺と付き合うなんて無駄なんや、ミキちゃんも目ぇ覚めたやろ」
「……」
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