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叔父姪えっち
第10章 はじまりのおわり
場が和んだところで、わたしは正座してお父さんにきっちり向き合う。
言うぞ。

「お父さん」
「ん?」
「わたしね、こっちの大学受けたいの」
「「へっ?」」
おじさん二人が同時に間抜けな声を出す。

「夏休み中に調べたんだ。行ってみたいところがあって」
わたしはスマホを弄って、ある大学のホームページの画面を出してお父さんの顔の前に突き出す。

「ここで……何を勉強するんだ?」
お父さんは画面に見入ったまま聞く。
「まだ完全には決めてないけど、法律か、心理学」

ちらっと叔父さんを見るとただただ驚いた顔をしていて、わたしはしてやったりの気分になる。ふふふ、びっくりしたでしょう。

「ん~。でもなぁ、まだ決めるのは早いんじゃないか? その二つなら東京でいいところいっぱいあるだろう」
「ここが気に入ってるの。生まれ育ったところだけどもともと東京は水が合わない気がしてて。こっちは人も穏やかだし自然いっぱいだし、わたしこの一か月で凄い元気になった気がするの」
うーん、とお父さんが呻ってわたしを見つめる。
「まぁ、確かに、そうかなぁ……」
見つめられてちょっとドキドキ。ばれないよね?

お父さんが迷ってるっぽいのでさらに押してみる。
「勉強もここの環境ですごいはかどったよ。宿題完璧だし予習までできたし。新学期のテストで結果出すから見ててよ」
「そうなのか……。まぁ家の中はこれから騒々しくはなるだろうけど……でも離れて暮らすのはなぁ~」
「なにも今すぐじゃないよ。どうせ東京でも大学行くのに家出るかもだし」
あぁ、まぁ、なぁ~とお父さんは歯切れが悪い。
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