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Doki Doki/one way love〜一方通行の恋
第6章 すれ違い
「あれ?」
翌朝
連日の早出により、すっかり疲れが溜まってしまった私はいつもの時間よりちょっぴり出遅れてしまい、慌ててリビングのテーブル脇を通り過ぎようとしたところで視界に入ったのが
テーブルの上に無造作に置かれた少し厚みのあるA4の封筒
ん?
係長、書類置き忘れたまま出かけちゃったかな
手に取ると、封がされていない
少し迷ったが、仕事関係の大切な書類だったら大変、と中を確認してみる
「失礼しまーす…って、何、これ」
重厚感のある表紙、見開きの中から出て来たのは凛とした上品な和服美人の写真
これってお見合い写真…だよね、多分これ
いや、絶対そうだ
もしや、係長のお見合い相手?
ヤバッ
遅刻、遅刻
時計を見ながら慌てて封筒に戻し、元通りテーブルの上に置いた
そういえば…
あのピアスの持ち主は係長の彼女じゃなかったんだろうか
係長…
まさか、彼女がいるのにお見合いするとか?
「うーん…」
考え事をしながら鼻の穴全開で駅への道のりを急ぐ
雛が鼻の穴が開くほど真剣に悩むのは社食でメニューを選ぶ時くらいだ
本人は全く気付いていないが
見なかった事にしよう…
うん、それがいい
都合の悪いことは何も無かったことにしてしまう
雛の悪い癖である