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Doki Doki/one way love〜一方通行の恋
第6章 すれ違い
「ひっ…」
壁ドンには違いなかった
違いないが、身長差があり過ぎる上に威圧感ハンパなく色気も何も無い、どうにも見た目の悪い壁ドンである
「今の、誰?」
「あのお方は速水さんという方で、先ほどご説明申し上げた通り下の階の…お友達…かな?」
「ふぅん…お前、引っ越して来て間もないのに、もう友達できたんだ…余裕だな
で、何?そのお友達とやらに、この俺のこと、同じフロアの人だなんて紹介するわけ?」
「いや、それはですね、その…
だって係長がルームシェアのことは他言無用って言うから…いえ、仰ったのでマズイかな、と思って咄嗟にですね」
「お前…鈍臭いクセに、そういうことには機転利くのな」
「鈍臭い、って、重ね重ね失礼ですよ、係長」
「事実だろ」
「あのう、他に用が無ければ私はこれで…」
「あ、ああ…そうだな」
できればルームシェアのことを速水さんには知られたくなくて、係長との契約を口実に誤魔化した
本当はちょっぴり下心のある私
そんな下心を悟られまいと
係長と目が合わないよう、俯いたまま何とかやり過ごすと、そそくさと自室に逃げ込んだ
あー、びっくりしたー
カツアゲでもされるのかと思ったよ
しっかし何だあれ、完全に確信犯だ
人のこと弄んで楽しんでるんだ
ホント、失礼な奴
それに人のこと、鈍臭いってさ
どうせ鈍臭いてすよ
係長はシャワーを浴びた後、しばらくリビングに居たようだった
自室に入る気配を見計らって急いでバスルームへ行き、大急ぎでシャワーを浴びた
♫♫♫♫♫♫♫
___はーい、雛でーす
___雛ちゃん?
___速水さん?今日はありがとうございました
___どういたしまして
あの後、大丈夫だった?
___あの後?特に何もありませんけど…
どうかしましたか?
___いや、大したことじゃないんだ…
今日は部屋の前まで送り届けるつもりだったんだけどな
______ああ、そんなこと、大丈夫ですよー
お気遣いなく
______ところで、雛ちゃん、明日休みでしょ?食事でもどうかな、と思って
___食事、ですか?
___うん、今日はラーメンになっちゃったし…
雛ちゃん、引っ越して来て間もないし俺の方がこの辺、少しは詳しいから
______!!!
“食事”というワードに脳内センサーが敏感に反応するのであった