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外れない首輪
第4章 キャラマキとビスコッティー
お互い、飲み物を飲んで気も緩んだのもあり、広瀬さんがぽつりぽつりと話し始める。
奥様とは学生結婚だったこと。
今、2番目のお子さんを授かっていて、大事な時期なのもありご実家に戻られていて、性的なことが何も無いこと。
おかげで、学生のとき並に反応してしまったけどね。苦笑しながら舌を出す。私も苦笑で返す。
「大丈夫です。気にしてません。男性にそういう時があるのも理解できますから。それに、奢っていただきましたし。」我ながら優等生な回答だと思いつつ。
ビスコッティを半分に折り、飲み物に浸した後クリームを掬い、口に運ぶ。
「クリーム付いてるよ」と言われ、紙ナプキンで拭こうとする間もなく、顎を持たれ親指で唇を拭われた。そして、そのまま指をペロリと舐める。その仕草に私は見とれていた。
彼は私の視線に気がついて、
「あ、ごめん。子供いるとついやっちゃうんだよね。」
「あ、いえ、気にしてません」取り繕うように言い、悪戯心が芽生えた。
彼にもう半分のビスコッティーを渡す。同じようにして。
軽くお礼を言われ、口に運ぶ。彼の唇にもクリームが付いた。
「ふふ、付いてます。」と言いながら、人差し指で拭い、指を舐める。
ハッとしたように数瞬固まった後「ありがと。」と言いながら、微笑みかけてくる。共犯者の笑みで。

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