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外れない首輪
第1章 ハガキ
昔と変わってしまった自分、こんな私をまた愛してもらえる訳ない。

その現実を目の当たりにしながら、シャワーを浴びる。

そうよね…もう…こんな私じゃ…
とは思いながら、
それでもあきらめきれない、一目会いたい自分が消えてくれない。
これは一時の気の迷い、きっとそう…でも…

こんなやり取りを心の中で今日は何回繰り返したことだろうか。

髪を乾かした後、リビングに戻ると、机の上にハガキの束が置いてあった。
「お得意様宛ての暑中見舞い、お願いできる?」
夫は営業なのもあって、お得意様への時事の挨拶を欠かさない。
とはいえ、こういうハガキを印刷して投函するのは、ほとんど私の仕事なのだが。

心の中で「あっ」と声を上げる、そうか、ハガキ…
あの人に暑中見舞いを送ってみよう、会いに行くわけじゃないし、
私は、お祝いの言葉を暑中見舞いをかねて送るだけ。
向こうが会いたくないのなら返事が来ないはず。

明日、暑中見舞いハガキを書こう。そう思うと私の心は少しだけ軽くなった。
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