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【短編集】real
第2章 瑠璃
眠ってしまおうと思うのに、考えれば考えるほど頭が冴えていく。

今日は、こんなふうにならないつもりだったのに。
誘われる前に、きちんと聞こうと思ったの。
出会ったら食事に行く前に聞こうと思ってた。
でも彼の笑顔を見たら言えなくなった。

だから、お腹いっぱいになって一段落したときに軽く話そうと思ったの。
でも、彼が所在無げに机でポンポンとタバコを詰めているのを見たら、やっぱ何も言えなくて。

お店を出て、このあとどうしようか、と問われた時も近くの喫茶店に行こう、話をしようって喉まででかかったのに。
なぜか彼の笑顔を見たらそれは言っちゃいけない気がして。

そうして安いホテルで抱きしめられた時、私は完全に諦めてしまった。
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