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やらし恥ずかし夏休みバイト
第4章 プールの監視員
 時を移さず、そちらを向いた朱里。
 そこには、腰に両手を当てて顔を真っ赤にした、怒髪天を衝く安本の姿があった。
「や、安本チーフ!!」
 慌てて、腰を突き出すポーズをやめ、水着を元通りに戻す朱里。
 とんでもないところを安本に見られてしまった、と朱里は激しく動揺した。
 安本は怒りに震えた様子で、口を開く。
「春日井……。いくら待っても戻ってこないから、心配して来てやったのに……。何をやってやがるんだ!!」
「す、すみません!! そ、その……」
「言い訳など聞きたくない!」
 朱里をにらみつけたまま、言葉を切る安本。
 眉間に刻まれた皺も、安本の怒りを表していた。
「知ってるぞ! さっきまで、彼氏を藪に連れ込み、楽しんでいたではないか!!」
「ええええ?!」
「ええ、じゃないぞ、この馬鹿が!!」
 全部見られていたと知り、朱里の狼狽はますます深まった。
 朱里はすっかり追い詰められた気分だ。
 また、「彼氏」の部分は否定しないでおくことに。
 彼氏じゃなくお客様とああいうことをしていた、ということになれば、安本の怒りはもっともっと激しくなるだろうと予想できたので。
「心配して来てやったら、お前の姿がないので俺は焦った。そしたら、近くの藪から、女の声がしてるじゃないか! 覗いてみたら、お前が彼氏とお楽しみ中だったというわけだ。あきれ果てた俺は、その場を離れ、こっそり様子を伺うことにしたが……お前は彼氏を見送った後も、すぐに本部に戻る様子もなく、ここへ戻ってきてオナニー開始と来た! あきれてモノも言えん!! どうしたら、こんな無責任な行動が取れるんだ!!」
 朱里は何も言えない。
 反論したり抗議したりすることもできず、朱里はただただ「すみません」と謝った。
「彼氏とヤっただけでは満足できんほど、欲求不満なんだな! よし、わかった! もう一度、プールを開ける! ついて来い!」
 まさか折檻されるのではないか、と恐れて、足がすくむ朱里。
「怯える必要はない! 暴力などふるわんからな! ただ、すぐに本部へ戻ってこなかった罰や、勤務に関する指導も含め、俺から色々教えてやるだけだ! さぁ、また鍵を開けたから、ついて来いよ!」
 すごい剣幕でまくし立てる安本の雰囲気に気圧(けお)される格好で、朱里はフラフラとその後を追い、プールへと続く黒い扉を開けて中へと入った。


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