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やらし恥ずかし夏休みバイト
第5章 マジシャンの助手
「あの……『セクシーマジック』『艶魔術』って、どういったものなんでしょうか? どういった感じで、セクシーなんでしょう? 面接ではその辺り、あまり触れられてませんでしたが……」
 いや、朱里が気づいてないだけで、実際面接でもかなり触れられてはいた。
 業務内容に関する具体的な説明を聞いたことで、応募者が19名を数えたにも関わらず、面接終了直後に16名が選考辞退を申し出たという事実もある。
 つまり、朱里も面接の時点ですでに嫌な予感に襲われてなければいけなかった。
「一言で言うと、エッチなことというわけですな。マドモアゼル朱里に身体を張ってもらって……」
「いやあぁぁ! またなのぉ!」
 ポロリの声を遮って、朱里は声をあげた。
 すぐに客室乗務員が駆けつけてきたので、何も異常はないこととお詫びを伝える朱里。
 客室乗務員は「他のお客様のご迷惑になりますので、申し訳ございませんが大声をあげられることはお控えください」と柔らかな表情で言って戻っていく。
「エッチって……どのくらいですかぁ? ポロリ中村さんとエッチしないといけない、とかないですよね? そこまでのことは……」
「マドモアゼル朱里。私のことは『ポロリ』もしくは『中村』とお呼びください。そして『マドモアゼル朱里と私が、ステージ上でエッチをするのか?』というご質問の答えなのですが、ウイでございます」
「ウイ?」
「フランス語でイエスということでございます」
「きゃ、きゃあ……」
 一瞬また大声をあげかけた朱里だったが、さっきの客室乗務員とのやり取りを思い出し、グッとこらえる。
「き、き、聞いてないですよ~」
「そりゃ、そうでしょうな。そこまで立ち入った内容は、面接でも話してないですから。それでも、何かを察知されたのか、応募された19名様のうち、16名の方々が自ら選考を辞退されましたよ。このことを話していれば恐らく、マドモアゼル朱里を含む19名様全員が辞退されたことでしょう。そうなると困りますので」
 穏やかな表情で、微笑みすら浮かべつつポロリは答える。
 朱里は納得ができず、すぐにでもこのバイトを辞めたくなった。
 ポロリとステージ上で性交するなど、朱里にとっても嫌で嫌でたまらないことなのは当たり前だ。


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