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やらし恥ずかし夏休みバイト
第5章 マジシャンの助手
「ポロリさん、ストッキングや網タイツはないのですか?」
「台本にも記載しておいたのですが、念のためにご説明いたしますと……。この衣装には仕掛けがございまして、実に見えにくい糸が、背後から出ております。こちらの細い糸を私が引っ張りますと、爆(は)ぜるように衣装がバラバラに飛び散るんですよ。つまり、この後のマジックで、衣装を取り去る際に、ストッキングや網タイツをその方法で取り去れないため、始めから着けないでいていただくわけです。普段、助手を務めてくれている妻も、この衣装着用時はストッキングや網タイツを穿いておりませんし、サポーターや前貼り、ニップレスなども着けておりません」
「な、なるほど……。爆ぜるように、って……ホントに成功するんですか? そんなに上手くいくものでしょうか」
「私はこのマジックをこれまで、妻と一緒に20回以上はやっております。もちろん、全て成功しておりますし、何ら心配ございません。それよりも何よりも、さっきたくさん練習しました、あの瞬間移動マジックの方、是非よろしくお願いいたしますよ。マドモアゼルに全てがかかっているわけですから」
「は、はい……」
 失敗は許されない……そう思うと、朱里は少し緊張してきた。
 緊張を紛らわすために、朱里は話を少しそらすことに。
「それにしても、色んな手品の種を知れて、嬉しいです! このお仕事ならではの醍醐味でしょうか」
 緊張を紛らわすためとはいえ、こんなタイミングで、やや嬉しそうな様子すら見せて言う朱里。
 肝が据わっているというか……実に能天気である。
「そう言っていただけると、ありがたい! おや、プロペラペペロンさんがリハを終えられたようですね。我々の出番です。よろしくお願いいたしますよ」
 ポロリの声に、朱里は緊張が高まりつつも、「はい!」と元気よく答えた。


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