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やらし恥ずかし夏休みバイト
第6章 夏祭りの屋台
 朱里が応募する気になった理由は、高時給だということ以外にもあった。
 なんと、浴衣が支給されるのだ。
 しかも、貸与ではないため、返却する必要もないという。
 つまり、タダで浴衣が貰えるということだ。
 短時間で高時給な上に、浴衣まで貰えるとあれば、心が動かされる人が出てきてもおかしくないだろう。
 その浴衣がまた、すごく可愛いということも、朱里の心を動かした。
 黒地にピンクの花びらの柄が入っており、帯は花びらよりも濃いピンク色をしている。
 渡された瞬間、「可愛い~」と思わず声が出た朱里。
 浴衣を貰えたこと、採用されたことに対して大喜びで、仕事内容に関する懸念は微塵も感じられなかった。
 面接や事前説明では、あまり立ち入った説明をされておらず、「後は現地で指導します」としか言われていなかったにも関わらず。

 そんなわけで、支給された浴衣を着用し、朱里は仕事場である屋台を探していた。

 まだ午後4時ということで、辺りにはまだ夕暮れの気配はうかがえない。
 どこからか、かすかにセミの声が聞こえていた。
 空は晴れ渡っており、気温は高いままだったが、朱里はさほど暑さを感じていない。
 事前に「浴衣の下には、下着を着用しないように」と言いつけられており、それを遵守する朱里はノーブラノーパンだったからかもしれなかった。
 朱里としては落ち着かない気分だったし、「なんで下着を着けちゃいけないんだろう」という疑問はあったが、いつものように気にしないでおくことに。
 もし聞いたところで、「そのための日当3万円だぞ」などと言われるともう、反論の余地がないので。
 朱里は「そういえば、昔の人って、浴衣の下に下着を着用してなかったって聞いたことがある。だから、普通のことかな」とも考えていた。


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