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やらし恥ずかし夏休みバイト
第6章 夏祭りの屋台
「可愛い~!」
 思わず声を出す朱里。
「そやろ。ほな、これも持って帰り。俺はこれから、撤収の準備をせんとあかんし」
 再び肩を落とし、両手で目を覆う佐々岡。
 相変わらず、朱里の様子をこっそりうかがいながら。
 既にかなり心を動かされていた朱里が言った。
「あの~。それじゃ……1時間だけ、頑張らせていただけますか?」
「1時間かぁ。それやとかえって、お客さんから文句が出るやん。『え~、俺これから挑戦したかったのに。もう店じまいなんか。不公平や』ってな。お菓子やおもちゃを楽しみにしてたお子さんも、泣くやろなぁ……」
「ううう……」
 子供が大好きな朱里にとって、これは精神的に大きなダメージを受ける発言だ。
 朱里の心が「辞めない」方向へ向けて動いてきたのを察知すると、佐々岡は顔を上げて、攻勢に出た。
 ここがチャンス、とばかりに。
「ほな、日当を5000円、上乗せするわ。3万5000円な」
「えっ?!」
 突然の申し出に驚愕する朱里。
「嫌なんを無理やりお願いするわけやし、仕方ないわな。これで、どうや?」
「え……でも……」
「分かった。ほんなら4万円で、どうや……。これ以上出すと、採算がとれへんねん、これで勘弁してくれへんか……。これでも嫌なら、すまんけど帰ってくれるか? 撤収準備、はよ(早く)せんと、隣の店にも迷惑がかかるしな」
「うううう……」


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