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やらし恥ずかし夏休みバイト
第6章 夏祭りの屋台
 朱里が気になったことを尋ねる。
「あの子が景品をもらえてよかったんですけど……。景品、ちゃんと数は足りますか? 終了時間前に、景品が底を尽きちゃう気が……」
「いや、心配は要らんて。そこらに置いてあるダンボール、全部景品やさかい。それに、今の子がめちゃくちゃ上手なだけで、普通は1つ引っ掛けるのも結構大変なんやで。まぁ、これから見てれば分かると思うわ」
 佐々岡の言う通りだった。
 その後、続々と客がやってきたものの、そのほとんどが「残念賞」に終わったのだ。
 5時半までの段階で、最高記録をたたき出したのは、子供連れの中年男性だったが、それでも3つの輪を引っ掛けるだけにとどまった。
 いまだ、4つ以上を引っ掛けて、B賞を獲得した客は一人もいない。
 そして、佐々岡が客たちに残念賞の説明をさらっとしたとき、朱里はようやく思い出した。
 残念賞の詳しい内容を。
 事実、何の説明も受けていないのに、数名の男性客は「残念賞」を言い渡された後も店のそばに残っていた。
 恐らく彼らは、この店の常連なのだろう。
 そんな男性客たちの意味ありげな視線を受け、朱里はちょっと身震いした。
 それから、「是が非でも、お手洗いは9時まで我慢しないと」と心に決める朱里。
 そうこうしている間にも、輪投げ挑戦者は後を絶たず、店の周囲には人だかりが出来ていた。
 まさに、大盛況の様相だ。


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