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やらし恥ずかし夏休みバイト
第1章 海の家
 シャワー室の扉を開けて、朱里は仰天した。
 更衣室のように、壁がガラス張りだったからだ。
 しかも、今回は3面だった。
 今、開けて入ってきた扉のある面を除く3方向が、全面ガラス張りとなっており、その向こうの砂浜を歩く人たちが丸見えの状態だ。
「ちょっと~! またこの構造なの~」
 朱里は呆れはてていた。
 ガラスの向こうでは、朱里が入ってきたのに気づいた男性たちが、我先にとばかりにガラス壁の前まで走ってくる。
 みんな、ガラスに顔がくっつくぐらいまで接近し、目を見開いて朱里を凝視していた。
 舌なめずりをしている人すらいるし、すでに海パンの前部分を膨らませている人もちらほら見受けられる。
 そして、肝心のシャワーヘッドは、中央のガラス壁側に取り付けられていた。
 つまり、かなりギャラリーたちに、シャワーを浴びる姿が見られやすい構造になっていたといえる。
「ここで浴びると、完全に丸見えだぁ……。また恥ずかしいことに……。うーん、でもシャワーを浴びずに帰るなんて、できないし……我慢しないと……」
 朱里はそう呟くと、観念したかのように天を仰ぎ、そしてシャワー室の中へ足を踏み入れた。
 タイルの感触が足裏に心地よい。
 また、ガラス張りの向こう、群がる男性軍団のさらに向こうには、美しい海が見えた。
 5時を回っているものの、いまだ夕暮れの気配はなく、青さをとどめたままきらめいている。
 波の白さとのコントラストも目に映えた。
 その手前に広がる砂浜も、陽光を浴びて明るい色合いをみせている。
「綺麗~。せっかく海に来たのに、今日は初勤務のことで頭がいっぱいで、空き時間の午前中も海を楽しめなかったからなぁ。そして勤務はこんなことに……。はぁ……」


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