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やらし恥ずかし夏休みバイト
第6章 夏祭りの屋台
「ほな、処理するか。はい、5千円!」
 佐々岡は突然大声でそう言うと、手を上げた。
 すると、男たちがほぼ全員、同じように手を上げる。
 朱里には訳が分からなかった。
 それから後、佐々岡は立て続けに「1万円!」「1万5千円!」などと叫んでいく。
 男たちがその直後に手を上げるという構図は変わらなかったが、金額が大きくなるにつれ、上がる手が少なくなってきた。
 朱里もようやく、「これって、もしかして……オークションみたいな感じの?」と気づき始める。
 まさか、とは思いつつ、朱里は羞恥のあまり、顔を手で覆った。
「3万円!」
 佐々岡がそう叫んだあと、手を上げた男はたった一人だけだった。
「他にいらっしゃいませんね?! では、おめでとうございます! 落札です!」
 佐々岡は高らかに宣言すると、簡易トイレを地面に置いて、ダンボールの外枠の内側に手を入れると、ナイロン製の袋を取り出した。
 袋の中身は、言うまでもなく、朱里の聖水だ。
 それはほとんど無色透明ながら、よくよく目を凝らせば、若干濁っているように見えなくもなかった。
 佐々岡はその袋の口を結ぶと、再び揺らして、ちゃっぷっちゃっぷと音を立てる。
 その音は、周りの男たちを喜ばせた。
「いや~ん! もう、やめてください!」
 朱里のそんなお願いも空しく、佐々岡はニヤつきながら、袋を揺らし続ける。
 そして、落札した男が3万円を佐々岡に手渡すと、佐々岡は代わりにその袋を男の手に握らせた。
 男は舌なめずりすると、佐々岡がしていたように、揺らして水音を立てる。
「いやぁぁん! やめてやめて! 汚いから、そんなの捨ててください!」
 朱里の声に、逆に男が抗議する。
「もう買い取ったんだから、俺のもんだぞ。安くない買い物なんだからな。それに、捨てるだなんて、もったいない! 君みたいな美少女のなら、俺はすぐにでも飲み干せるね。もったいないから、今すぐにはしないけども」
「な、な、何を言ってるんですかぁ!」
 その男の変態ぶりに、驚き呆れる朱里。
「ま、そんなことで、ありがとう! それじゃ!」
 満足げな笑顔を見せたその男は、朱里の聖水入り袋を手にしたまま、颯爽と立ち去っていき、人混みへと消えていった。


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