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やらし恥ずかし夏休みバイト
第8章 朱里と優輝
 コンコンとノックの音を口で言い、「失礼します」と言って朱里がベッドに近づく。
 優輝はいかにも苦しそうに顔をしかめている。
 朱里が何かファイルを手にしているかのような素振りで尋ねた。
「優輝さん、お加減の方はどうですか?」
「うーん、薬の効き目が切れると、とにかく痛いよ! そうそう、そろそろ塗り薬を塗る時間だな。お姉さん、お願いできる?」
「はい、かしこまりました」
 ありもしない薬を手に取るふりをする朱里。
 そして優輝の右足の指を、撫で回した。
 優輝が言う。
「うん、ありがとう。じゃあ、上着を脱ぐから、こっちにもお願い」
 朱里は「怪我してるのは、足の小指のはずじゃ?」とツッコミを入れたいのをグッとこらえた。
 優輝はそそくさとパジャマの上着を脱ぎ、再び仰向けに寝転んで言う。
「胸とお腹にも塗ってほしいんだけど、そのときにお姉さんが同じ部分を使って塗ってくれると、効果が倍増みたい。胸に塗るときは、お姉さんの胸に、お腹に塗るときは、お姉さんのお腹に、それぞれ薬をつけて、塗ってね」
 またしても突っ込みたくなる朱里。
 足の怪我という設定はどこへ行ったのだろうか。
 それでも、従順に「はい」と言って従った。
 必死で笑いをこらえつつ。


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