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やらし恥ずかし夏休みバイト
第1章 海の家
「えっと、具体的にはどんなことを?」
 思わず朱里が尋ねた。
「それはもう様々でして、何か発生次第、臨機応変に対応していただくということで」
 言葉を濁した感じで、店長が答える。
 朱里は、業務内容を詳しく知れないことで、ちょっぴり不安を感じたものの、「だからこその時給1500円なのだ」と思えば、仕方ないことのように思えた。
 そう、初めに店長が言った程度の業務なら、こんな時給をもらえるはずがない。
 それほど難しい業務はないとチーフも断言してくれたし、きっと何とかなるはず、と思う朱里。
「問題ございませんでしょうか?」
 チーフが尋ねる。
「はい! どんな業務でも、全力で取り組みたいと思っております。やる気だけは誰にも負けませんので、是非よろしくお願いします!」
 朱里は笑顔でそう言うと、軽く頭を下げた。
「いいお返事ですね。それでは、採用とさせていただきます」
 同じく笑顔で言う店長。
 その言葉に、朱里は「ええ?!」と言い、口をあんぐり開けた。
「春日井さんのように元気な方を求めていたのですよ。えっと、来週から早速勤務開始可能ということでしたね。それまでに、水着やエプロン等、支給品はお届けいたします。ああ、そうそう。もし万が一、『この業務は無理』と思われた場合は、必ず現場の誰かに一言伝えてから、帰られるようお願いいたしますね」
「そ、そんなにキツイ業務なんですか?」
 心に不安がよぎる朱里。
「多分、問題ないとは思いますが、念のため」
 店長は微笑みを浮かべたままだ。
「了解いたしました! でも、出来うる限り、全力で誠心誠意、取り組ませていただきますね」
「ありがとうございます。では本日はお疲れ様でした」
 3人はお辞儀を交わし、面接は終了した。



 家に帰り着いた朱里は、狂喜乱舞した。
 まさか、その場で即決してもらえるとは思ってなかったので、喜びはあふれてきて尽きない。
「こんな好条件のバイトで即採用だなんて!」
 思わず独り言を言う朱里。
 ほんの少しの不安はまだ残っていたが、「何とかなるだろう」と思って、気にしないことにした。


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