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やらし恥ずかし夏休みバイト
第3章 桃の販売員
「え? 13個も購入していただけるんですか?!」
「うん、AとBで合わせて13。だから演技はほどほどにして、スムーズに行こうぜ。ものの数分で済むんだしさ」
「ううっ……」
 13個も購入してもらえる、ということが、朱里の心を動かした。
 ここまで1時間が経過して、まだ1個たりとも売れていないのだ。
 あと3時間で計60個を売ることは、まず不可能に思えたし、そもそも1箱売ることですら至難の業に思える。
 今この客に言われている内容は意味不明だけども、たった数分程度の我慢で、1箱以上も買ってもらえるなら……。
 朱里は我慢することに決めた。
 目を閉じて口を開き、ちろっと舌を出す朱里。
 中年客の顔はパッと明るくなった。
「おおっ、やっとその気になってくれたか! ではでは……」
「んんっ! はぁっ……」
 両手を朱里の背中に回し、抱きしめるような格好になると、中年客は喜び勇んで朱里の唇に吸い付いた。
 そしてねっとりと舌と舌を絡ませる中年客。
 強弱、緩急をつけつつ、朱里の舌を味わっていった。
 ちゅっぱ……ちゅちゅ……くちゅ……。
 静まり返った車内に、卑猥な音と二人の荒い呼吸が響いている。
「ほら、まず靴を脱げ。そして俺の膝に乗っかれ。微妙に身体が離れてるから、キスしづらいだろ」
 いったん唇を離して、中年客が言う。
「んぁっ……やだぁ……」
 きつく抱きしめられて、ディープキスをされている現状すら嫌なのに、そんなことを朱里がしたいと思うはずがなかった。
「演技はもういいって。いつまでも言うことを聞かないようなら、もう買わないで帰るよ」
「ええっ……困りますっ!」
「だったら、早く!」
 朱里は頷き、靴を脱ぐと、対面座位の体勢で中年客の膝に乗った。


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