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やらし恥ずかし夏休みバイト
第3章 桃の販売員
「斎藤さんは22個、お買い上げいただけるんですよね? えっと……」
 そう言って、ダンボールに手を伸ばす朱里だったが、すぐに優しくその手を斎藤に掴まれた。
「すみません。まだFしか済んでませんよね。Bをしてから、お勘定していただきたく……」
「さっきからずっと、中宮さんと斎藤さんがおっしゃっている、その謎のアルファベット、いったい何なんでしょうか?」
「朱里さんは、本当にご存知ないのですか?」
「はい、全く。研修でも一切聞いていないので」
 朱里は本心から言った。
「そうでしたか。てっきりご存知の上かとばかり思っておりました。いや、言いにくいのですが……Aはキス、Bは愛撫、Cはその……まぁ情交と申しますか。そしてFが、先ほど朱里さんに私がしていただいた行為です」
「えええええっ?!」
 朱里は面食らった。
 一言もそんなことを知らされておらず、まさに寝耳に水だ。
「ああ、それで先ほど、中宮さんはキスとお触りを?!」
 頭が混乱したままだったが、どうにか落ち着こうと試みつつ、朱里は尋ねた。
「ええ、そうだと思いますよ。で……大変申し上げにくいことですが……少々、触らせていただいてもよろしいでしょうか? 私はBも希望いたしておりますゆえ……」
「え……あ……」
 断りにくい空気に、朱里は絶句する。
 そんなとき、またドアが開いた。


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