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やらし恥ずかし夏休みバイト
第1章 海の家
 しかし、午後2時半ごろにちょっとした出来事があった。
 注文を取りに、テーブルまで向かった朱里だったが、注文を聞き終えて厨房へと引き返す際、客の手が自分のお尻に当たったような気がしたのだ。
 偶然かな、そう思った朱里は、特に気に留めることもなく、厨房へと戻った。



 やがて料理とドリンクをトレイに載せ、そのテーブルへと戻ってきた朱里。
 しかし、ドリンクを置いてトレイを空にしたその瞬間、目の前に座っている中年の男性客が、露骨に手を回して、朱里のお尻を撫でた。
 驚いて、息が詰まる朱里。
 声も出ずに固まる朱里に、にやつきながらその男性客が言った。
「新人ちゃんかぁ。いいケツしてるな。名前、何ていうの?」
「ちょっとおじさん、露骨過ぎるって」
 真向かいに座っている、連れの若い男性がなじるように言う。
 こっちの人はけっこうなイケメンだと、朱里は思った。
 そういうやり取りがある間も、中年男性の片手は自分の口ヒゲを、もう一方の手は朱里のお尻を小刻みな動きで撫でさすっている。
「別に水着の上からだし、いいだろ。害はない」
 平然と言い切り、撫で続ける中年客。
 そこで、ハッと我に返り、名前を尋ねられていたことを思い出した朱里は、律儀に答えた。
「春日井朱里と申します」
「朱里ちゃんかぁ。なぁ、朱里ちゃん、これあげるから、水着の中に手を入れてもいい?」
 そう言いつつ、中年客は懐から千円札を取り出した。



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