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やらし恥ずかし夏休みバイト
第4章 プールの監視員
 瞬く間に、並み居る客の人数はどんどん減っていく。
 ついには最後の一人だけになったので、密かに「何事もなくてよかった。もうすぐ帰れる」と考えていた朱里。
 最後まで残ったその客は、自分と同じ10代にみえる男性で、気弱そうな表情と、低い身長、ほっそりした身体が特徴的だった。
 しかし、なぜかその男性客は、浴びる前に簡易シャワーを止めてしまう。
 そして、朱里の方を向いて言った。
「あの……。お姉さん、お話があるんだけど……」
 小さく聞き取りにくい声で、ぼそっと呟く男性客。
「あ、はい! いかがなされましたか?!」
「これを見て」
 相変わらずの小声で言うと、男性客はのろのろした動きで左足を上げる。
 朱里が視線を落とすと、その膝には青アザができてしまっていた。
「あ! お怪我をされたんですか、お客様?!」
 驚いて叫ぶ朱里。
 男性客は頷いた。
「あの高い椅子に座るお姉さんを見ながら歩いてたら、壁に思いっきりぶつけてしまって」
 まるで、朱里のせいで怪我をしたと言いたげな調子に、朱里は軽く抗議した。
「それはお気の毒に! この傷の具合だと、何ら応急手当も施しようがないですね、すみません。で、でも~、お怪我の原因に関しては、私のせいじゃないですよね……?」
「お姉さんが可愛い顔して、そんな際どい水着を着けてるからでしょ」
「だ、だけど! それを言い出すと、うちの女性スタッフは、みんな同じ水着ですよ!」
 周章狼狽して、反論する朱里。
「それでも、お姉さんのせいには変わりないよ。でね、ここ以外にも怪我があって」
「え?! どこですか?!」
「ここでは人に見られちゃうかもだから、あっちの草むらで見せるよ。一緒に来て」
 普通はこの時点で、嫌な予感に襲われないといけないはずだ。
 だが、「お尻を怪我してしまったのかな。それも私のせい?」などと想像し、申し訳なさすら感じていた朱里は、怪しむことなく黙って男性客についていった。


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