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あたしに全部見せなさいっ!
第9章 二人の気持ち
最後の言葉ははにかむように。だから、そういう表情や仕草が『可愛い』って言わせる要因の一つなんだけど、柚留はきっとそこには気付いていない。
そんな鈍感なところも、やっぱり『可愛い』って思ってしまうから困る。
「……別に『可愛い』は、馬鹿にして言ったとかじゃなかったんだよ?」
「うん、知ってる。でももうちょっと男らしくなりたくて、試しに『俺』って言ってみたりしたんだけど、なんか似合わなくて……。お母さんにも遅めの反抗期? って言われちゃったからやめた」
「……何それー」
つい笑ってしまう。高三で反抗期って、どんだけ遅いのっ。だけど確かに柚留の性格じゃ、反抗期とかなさそうだもんなぁ。
あたしと違ってさぞ手のかからない子供だったに違いない。
あたしはオレンジ色に染まった、柚留の可愛いらしい顔を見つめた。その頬に、そっと触れる。
「柚留はそのまんまでいいよ」