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第9章 二人の気持ち

　現実逃避しかけたあたしの魂を、詩織が一喝して連れ戻してくれる。
　はい！　と背筋を伸ばして直立。

「リアリティーが無かったのって、まりねが三次元に恋をしてなかったからじゃないかなーって思ったの」
「……恋？」
「そう恋。だから、恋愛してる男の子たちの気持ちが、イマイチ描けてなくて読んでる方も共感できなかったんじゃないかなーって。そう気持ち。ようは、『キャラたちの恋愛感情をうまく表現できてない』ってこと」
「そーゆうこと!?」

　確かに、今まで恋愛漫画はいっぱい読んだけど、自分が三次元の誰かに恋愛感情を持ったことはなかった。
　だから、キャラの気持ちやシチュエーションを考える時も、参考にするのは全部漫画。

「……なんだぁ。だったら、ネットでどれだけエロ画像とかアソコの画像検索しても意味ないし、柚留を裸にしていろいろ観察したのも役に立たなかったんじゃんっ」
「……うーん、だいぶズレてはいるよね。まあ、お疲れっ」