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あたしに全部見せなさいっ!
第2章 紙とインクに発情中っ!
お弁当をちゃっちゃと食べ終え、またお絵かきを再開しようとした時。
柚留があたしたちのところへやってきた。っていうか、教室の外に行ってて、戻ってきた時通りかかっただけだけど。
「さっきの、何?」
「ん?」
柚留はきょとんとした顔で、首をかしげた。
「僕に手、振ってなかった?」
「あー。なんでもないよ。ゆずちゃんは今日も可愛いなーって思って」
「……え?」
大きな瞳を見開いて、さらにきょとん顔。頭にいくつも浮かぶハテナマークが見えるようだった。
詩織は時々女の子みたいな柚留の外見をからかって、ゆずちゃん、なんて呼んだりする。それも慣れっ子なのか、それにいちいち反論したりもしない柚留。
いいのかそれで、柚留に男としての尊厳はないのか! ……ないだろうなぁ。
柚留の性格は穏やかで、年中無休で春の日だまりみたいにぽやぽやーっとしている。