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あたしに全部見せなさいっ!
第3章 オトコの研究法!?
「……恋?」
恋、つまりは恋愛。その単語に、今日何度めかのため息が出る。
ああ、幸せが逃げちゃう。大きく息を吸い込んでちょっとだけ呼び戻してから、再び柚留を振り向く。
「……やっぱりしないとダメなのかなぁ、恋!」
「……え?」
〆切まで一ヶ月と少ししかない。この課題をどうにかしないと、描き進められないけど、恋愛に興味も持てないましてや好きな人もいない状況で恋なんて……。気持ちばかり焦ってしまう。
「何で悩んでるかわかんないけど……」
どんより沈んだあたしの横で、柔らかい声が降ってくる。
「しないとダメってわけじゃないと思うよ? しようとしてするものじゃないじゃん、恋って」
そう言って、にっこりと笑う柚留。ふわふわした柚留の笑顔は昔から、あたしの精神安定剤だ。怒ってても、悲しくても、なぜかその顔を見ると落ち着いた気持ちになれる。