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あたしに全部見せなさいっ!
第1章 プロローグ

「……勃起した?」

 まだちゃんとたってはないみたいだけど。
 そう口にした途端、柚留の肩がぴくりと跳ねて、足を閉じられてしまう。

「ねえ、誰が足を閉じていいって言ったの? 約束したよね? あたしが描く漫画に協力してくれるって。柚留の体、全部見せてくれるって。あれ嘘なの? サイテー」
「だって……、あれはまりねちゃんが……」

 言い返そうとする声も弱々しくて、柚留の綺麗な眉が、困ったようにハの字になる。気が弱くて、優しい柚留。昔から、口じゃあたしは負けたことがない。

「ねー、お願いっ。協力して? こんなお願い、柚留にしか頼めないんだよ。〆切が近いの、お願いっ!」

 そして柚留は、この『お願い』にすこぶる弱い。
 柚留は泣きそうな顔で、また足を開いた。

「今回だけだよ。ずっとはやだからねっ」
「わかってるってば」

 あたしは内心にやりとほくそ笑む。
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