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あい、見えます。
第2章 見守って
足音で悟られないように距離を取りながら、視線の先の彼女を確認する。
長い髪を左耳の下で束ねた彼女は、空色のサマーニットと濃紺のスカートで、A4サイズの鞄を持ち、白杖を操りながら数メートル先を歩いている。
横断歩道を渡り終えて、彼女が進む先には、佐々木も知っている施設が見えてきた。

(図書館?)

眩しい日差しから逃れるように、市立図書館の自動ドアを潜って行く彼女を見て、佐々木は足を早めた。



  *  *  *



佐々木の住む市の図書館は2階建ての建物だ。
自動ドアを入って数メートル進んだ受付では、本の貸し借りのみならず、レーザーディスクやCDの視聴の受付、個別勉強机の管理札の貸出など、様々な業務を請け負っている。

この場所に図書館が建っているのは知っていたが、足を運んだのは初めてた。

涼しい館内に入ってみて、訪れなかった理由が、自分の偏見のせいだったと、佐々木は気付く。

(思った以上に、明るい空間なんだな)

図書館というのは、学校の図書室のような、どこか閉鎖された空間で、古い書棚と埃っぽい書物が並ぶ、じめじめした場所だと思っていた。

だが、ここは、建物中央の大きな吹き抜けが南東向きの窓から光をぞんぶんに吸い込み、開放感のある空間を作りだしてる。

その陽射は斜めになった白いブラインドからも、ふんだんに差し込んで、蛍光灯に照らされている受付を、より一層、明るく見せていた。
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