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あい、見えます。
第2章 見守って
触れたと思ったものは、佐々木の腕を掴んでくる。

それは、受付で彼女の対応をしていた女性スタッフだった。

何処か非難がましい表情で、佐々木を見上げながら、彼女は一瞬迷ってから口を開く。

「あの、……彼女の、お知り合いの方ですか?」

「え」

「失礼ですけど、彼女を…見てますよね? ストーカーか何かだったら、私、…通報します」

思いつめた様子に、佐々木が思わず眉を持ち上げた。

「いえ、違います。ストーカーだなんて」

「だったら、どうして? 貴方みたいに年の離れた友達がいるって、私、彼女に聞いてません」

「あ、いや…、隣に、住んでるものです」

「…………は?」

ポニーテールの彼女は、数秒の沈黙の後、眼鏡の中の目を丸くする。

「彼女の、……あの女性の部屋の、隣人の者です」

答える傍から、間抜けで奇妙な返答だと、佐々木も苦笑した。

とりあえず、そのスタッフを刺激しないように、ロビーの端に移動すると、改めて自分と彼女の関係を説明する。

とはいっても、説明できるような詳細な関係では無い。

自分は、彼女のことを何も知らないのだから。



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