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あい、見えます。
第2章 見守って
「1ヶ月前に出逢って。ただ2回、会話をしただけで、何となく気になったから、隣の人の後をつけてきた……っていうことですか?」

事情を聞かされた彼女の困惑ぶりも当然だろう。

話している佐々木でさえ、何故かと聞かれても答えは上手く言葉に出来ない。

昔の恋人の面影があるから、というだけでは無い気がする。

かといって、あの日の彼女の表情を、そのまま伝えて良いようにも思えない。

苦笑するしか無い佐々木の様子に、一つ溜息をついた彼女が、眼鏡のブリッジを押し上げながら、小さく頷く。

「悪い人じゃないんだろうって気はしますけど、念のため、名前くらいは教えてください」

「名前?」

「私、彼女とは長い付き合いなので。……お節介かもしれませんけど、一応、彼女を心配する係だと自負してるんです」

妙な言い分だ。

そう思うものの、自分を見上げる女性の真剣な眼差しに、ここは素直に従った方が良さそうだ、と佐々木は頷いた。

自分を悪い人じゃないだろうと言う、彼女もまた、佐々木から見て、悪い人間には見えなかった。



「佐々木、晋です」



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