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あい、見えます。
第3章 見つけ出して
「ハルカと、何か…あったとか?」
問いかけるが、佐々木は苦笑して小さく首を振る。
「彼女が、……毎日、この図書館で、何をしているか知りたくて、来たんです」
「……」
その言葉に、僅かに薫が面食らった。
これは、やっぱりストーカーなんじゃないのか?
"純粋な興味"が、"不純な凶器"に変わることは、往々にしてありうる話だし、隣に住んでいる男が豹変した、なんて事件に大事な友人を巻き込むことは出来ない。
(どこまで…、言っていいんだろう)
そんな薫の顔色の変化に、佐々木も気付いたらしい。
小さく溜息をつくと、柔らかく笑って首を振る。
「すみません。困らせてしまいましたね」
一つ頭を下げると、返答に詰まる薫に微笑んで、彼は図書館の奥へと歩き出した。
「あ…」
思わず視線で背中を追うが、薫は言葉をかけはぐった。
佐々木の背中が消えた先は一般書架スペース―――、吹抜けのブラインド越しに、パソコンに向かうハルカの横顔が見える位置だ。
この図書館は、1階がコの字型になっている
吹抜けには、佐々木がいる一般書架と、その向かいにある個別学習スペースから、それぞれガラス扉で出ることが出来る。
8畳ほどの空間だが、雨ざらしの割には、白い石タイルは清潔に整えられていて、暑さ寒さが落ち着いている日には、石のベンチに腰掛け、飲食する利用者もいる。
今日は日差しが強いせいか、吹抜けに座っている利用者はいない。
ブランドの角度が緩いおかげで、何にも遮ることなく、彼女の姿が見えるはずだ。
あの男は、彼女を見に来たのだろうか。
見に来て、何を知ろうとしているのだろう。
薫は難しい顔のまま、佐々木が戻した本を手に取った。
問いかけるが、佐々木は苦笑して小さく首を振る。
「彼女が、……毎日、この図書館で、何をしているか知りたくて、来たんです」
「……」
その言葉に、僅かに薫が面食らった。
これは、やっぱりストーカーなんじゃないのか?
"純粋な興味"が、"不純な凶器"に変わることは、往々にしてありうる話だし、隣に住んでいる男が豹変した、なんて事件に大事な友人を巻き込むことは出来ない。
(どこまで…、言っていいんだろう)
そんな薫の顔色の変化に、佐々木も気付いたらしい。
小さく溜息をつくと、柔らかく笑って首を振る。
「すみません。困らせてしまいましたね」
一つ頭を下げると、返答に詰まる薫に微笑んで、彼は図書館の奥へと歩き出した。
「あ…」
思わず視線で背中を追うが、薫は言葉をかけはぐった。
佐々木の背中が消えた先は一般書架スペース―――、吹抜けのブラインド越しに、パソコンに向かうハルカの横顔が見える位置だ。
この図書館は、1階がコの字型になっている
吹抜けには、佐々木がいる一般書架と、その向かいにある個別学習スペースから、それぞれガラス扉で出ることが出来る。
8畳ほどの空間だが、雨ざらしの割には、白い石タイルは清潔に整えられていて、暑さ寒さが落ち着いている日には、石のベンチに腰掛け、飲食する利用者もいる。
今日は日差しが強いせいか、吹抜けに座っている利用者はいない。
ブランドの角度が緩いおかげで、何にも遮ることなく、彼女の姿が見えるはずだ。
あの男は、彼女を見に来たのだろうか。
見に来て、何を知ろうとしているのだろう。
薫は難しい顔のまま、佐々木が戻した本を手に取った。