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あい、見えます。
第3章 見つけ出して
遥と薫は高松市出身だった。
二人が出会ったのは、まだ小学生の頃。家族で入ったうどん屋の座敷で、薫が遥にぶつかったのが交流のきっかけだ。
その頃から、遥は闇の世界に生きていたという。
「生まれた時から…、だったんでしょうか?」
「いえ。6歳の時に、病気で見えなくなったって言ってました。何も、見えないそうです」
「何も?」
「はい。前に”光も感じないから、光が何か分からない”って言ってました」
薫の表情が曇る。
それでも、遥と共に過ごすことで、薫は遥に、自分の見える世界を伝えて支えてきた。
時には、反目して喧嘩になったこともあるし、口を利かずに暫く距離を置いた時期もあった。今でこそ、関係は良好だが、薫は、遥が瞳にコンプレックスを抱えていると強く感じている。
「でも、彼女は、今、ちゃんと働いてますから。世界と繋がってるから、それだけでも素晴らしいと思うんです」
「働いている?」
「えぇ」
頷いた薫が、遥に優しい目を向けた。
「毎日図書館に来るのは、テープ起こしの仕事をしてるからなんです」
二人が出会ったのは、まだ小学生の頃。家族で入ったうどん屋の座敷で、薫が遥にぶつかったのが交流のきっかけだ。
その頃から、遥は闇の世界に生きていたという。
「生まれた時から…、だったんでしょうか?」
「いえ。6歳の時に、病気で見えなくなったって言ってました。何も、見えないそうです」
「何も?」
「はい。前に”光も感じないから、光が何か分からない”って言ってました」
薫の表情が曇る。
それでも、遥と共に過ごすことで、薫は遥に、自分の見える世界を伝えて支えてきた。
時には、反目して喧嘩になったこともあるし、口を利かずに暫く距離を置いた時期もあった。今でこそ、関係は良好だが、薫は、遥が瞳にコンプレックスを抱えていると強く感じている。
「でも、彼女は、今、ちゃんと働いてますから。世界と繋がってるから、それだけでも素晴らしいと思うんです」
「働いている?」
「えぇ」
頷いた薫が、遥に優しい目を向けた。
「毎日図書館に来るのは、テープ起こしの仕事をしてるからなんです」