この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
あい、見えます。
第6章 見すごせなくて
玄関の方を見つめ、耳を澄ますと、足音は自宅の前を通りすぎた。

程なくして聞こえた開錠の音と扉の開閉音に、佐々木は隣人の帰宅を確認すれば、ソファの上の布団一式に視線を戻す。

流石に、すぐ隣を伺うのは不躾すぎるだろう。

まだ断続的に、暗雲を切り裂くような光が走り、強い雨音を縫って雷鳴が轟いている。

微かに、隣室のベランダ側から、ガラス戸を開ける音が聞こえた。

その音が落ち着くのを待ってから、佐々木は一つ息を吐くと、玄関へ向かった。







遥の帰宅した音が聞こえてから、10分弱だろうか。

僅かに躊躇しながらも、佐々木はその女性の部屋のインターホンを人差し指でゆっくりと押した。

緊張した佐々木の心境とは不釣り合いな、高い電子音がゆったりと響き、数秒後、受話器を取るカチャリという音がスピーカーから聞こえた。

「……はい」

不安げな声だった。

けれど、綺麗な声音だと思った。

そのせいで、佐々木は、一瞬、言葉を失いかけた。

慌てて口を開く。

「あの、隣の部屋の、佐々木です」

「あ、…はい」

「急な雨だったので、失礼かと思ったんですが、布団を、お預かりしました。お手すきの時に、取りに」

「ちょっと、待ってください」

遥の声が、少し早口になり、佐々木が口を噤んだ時には、スピーカーからはガチャリと音を立てて受話器を置く音だけが聞こえていた。


/110ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ