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あい、見えます。
第1章 見つめ合って
布製のケースに白杖が収納される様子を眺めていたら、作業を終えた彼女が自分の方へ、すっと顔を向けてきた。
その怪訝な表情に、佐々木が小さく目を見開く。
ぼんやりと考えていたら、彼女の動きを見つめたまま、すっかり固まっていた。

特に交わすべき会話も見当たらず、僅かに迷った後、佐々木は一つ頭を下げた。

「佐々木です」
「あ……、はい」

名前を名乗るも、彼女は小さく不安げに返事をするだけで、会話は弾まない。
面識があると言っても、佐々木が一方的に彼女の顔を見ているだけで、彼女にしてみれば、声しか知らないであろう、赤の他人だ。
気まずい雰囲気に俯いた彼女が、黒髪を微かに揺らしながら、緩慢な動きで鞄から鍵を取り出した。そして、何か言いたげに動きを止めていた佐々木の気配を、戸惑いがちに探ってくる。

恐る恐るこちらを伺う視線に釣られるように、佐々木は、自分も尻ポケットの鍵を取り出し、部屋のノブに差し込んだ。
警戒されているのだとしても、当然だろう。深夜に声をかけてきたような異性に対し、男ならまだしも、女性がおいそれと心を開けるわけが無い。
カタンという自宅の開錠音を聞きつつ、隣を見れば、彼女は手にした鍵を持ったまま立ちすくんでいる。まるで佐々木が家に入るのを待っているようだ。

鍵を引き抜いて握りこんだ佐々木は、だが、その女性の表情が余り冴えないことに目を細めた。
出会ったばかりの隣人に対し、どう対応すべきか困っているのだろうか。
田舎のコミュニティとは異なり、都会のマンションでは、隣近所との繋がりなど、あってないようなものだ。

だが、彼女の表情は、そういった"隣人との繋がりを育もうとして困っている類(たぐい)"とは少し違うような気もした。
何か伝えたいことがあるような、もどかしげな雰囲気に感じられる。
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